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< ゆっくりと春が> |
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4月中旬、雪がずいぶん減ってきたので、思い切って森へ向かって歩き出した。杖がずぶずぶうまり結構難儀だったが、ようよう30メートル程の距離を進んでたどり着いた。日当たり加減で、すでに土の見えているところやまだ厚く雪に埋め尽くされているところなどが混じって、森の雪解けはまだらにすすんでいた。 「やーみんな、また今年もよろしく頼みます。」 右や左の樹木達に声をかけた。 厳寒時の強風や雪の重さにへし折られた枝がそこらに散らかっており、片付けには相当手間がかかりそうにみえた。 耳をすますと風の音、雪解け水の駆け下る川音に混じって、すでに幾種類もの小鳥の声が響いていた。気温がなかなか上がらない4月だが、鳥たちは季節をあやまたず、順次戻ってきているのだった。羽音にふと見上げるとカモのつがいがいかにも忙しげに翼を動かし渡っていた。 「さて今年はどの木から樹液をもらおうかな。」 あちこち見渡しながらまだ一度も手をつけていない白樺を探した。例年と比べると少し時期は早いが、もしかしたらもう樹液があがっているかもしれない。家まで戻ってキリを持ち出し、とりあえず近くの木に小さな穴をあけてみた。つつつーっと乳白色の液が流れでた。 「あっ、もう活動が始まっていたんだ。よし明日から仕掛けるぞ。」 いよいよ今年の森での活動開始だ。必要な小道具類を点検し心躍らせながら森を後にした。 ところで、ここ数年、白樺樹液に関して科学的研究もかなりすすんだようで、新聞でもいくつか記事にしている。ちなみにその代表的な薬効をあげてみよう。胃腸の表面を強化する。肌に有効。(化粧水ができている。)ストレス解消の作用がある。活性酸素を押さえる。虫歯の予防効果がある。(キシリトール入りガム)。白樺花粉症に有効。(これは私の体験によるもので、今のところ科学的に立証されてはいない。)等々。 今後まだまだ多くの薬理作用が発見されるだろうが、それは科学者に任せるとして、これからも私は、自分流の春の風物詩として、樹液採取を一人静かに楽しんでいくことにしよう。 ご意見・ご感想をお寄せください。 |
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