|
< 花 心> |
|||
コブシが咲きほこり、山のあちこちが明かるんでいる。世に、コブシのきれいな年は豊作だとの言い伝えがある。今年は4月末に大雪があったせいか、すべての花がかなり遅れた。いかに北国とはいえ5月も終わりになってようやく桜、こんな年も珍しい。 森の草陰にもようようヒメイチゲやエゾキンバイが花開き、逍遙する私にほほえみかける。今ではすっかり古くなったデジタルカメラを抱えて毎日の森通い。心ははずむ。 待ちかねたエゾムラサキツツジもついに満開の時を迎えた。この花はどこの庭先にもあるし、野山にもそちこちのササ陰に認められ、さして珍しいものではない。 しかし私が日頃親しんでいる奥山に案外な規模の群落がみられ、目を引く。例年、ダニに食いつかれるのもなんのその、そこで写真を撮り歩くが、色あいの鮮やかな年、そうでもない年、さまざまあっておもしろい。 いつも思うのだが、このすてきな花園を多くの人に見てもらいたい。しかし躊躇(ちゅうちょ)がある。 いまだ人間は自然とのつきあい方が下手というか、甘えているというべきか。ついつい傍若無人に振る舞って、自然に負荷を加える。ゴミの投げ捨てや火の不始末。あちこちの山で問題化している盗掘。これが実状である。 海や川や山、そこに生息するさまざまな動植物の活動があって初めて、われわれ人間の健康な生活が保たれる。自然を痛めることは天につばするようなもので、必ずお返しが来る。 現在、虫を嫌う子供が圧倒的に多いが、実は、虫がいなくなれば植物の大半は姿を消す。つまり人間も生きていけなくなるのだ。こういった自然と人間の微妙な関係を、花の季節のまっただ中でそれを楽しみながらも、一人ひとりが考える時だと思う。 そしてかぐわしい花心をお互い、内に涵養したいものである。 ご意見・ご感想をお寄せください。 |
|||