「あらら、これは白雪姫に出てくる、典型的な形のベニテングダケだ。迫力あるなー。」
つぶやきながら遊歩道に座り込んで撮影にかかる。カシャッ、カシャッ。デジカメの小さな音が響く。
今年は8月後半以降、例年に比して雨が多くまた気温も高めにすぎた。そのせいだろう、続々キノコが顔をのぞかせた。 これまでに見たことのない種類も多くあって、古い図鑑では調べきれない。
とりあえずよく知っているラクヨウ(ハナイグチ)とか、とびきり美味いアカモミタケなどを採って秋を味わっているのだが、ついつい好奇心にそそのかされ、食べ慣れていないものにまで手をのばしてしまう。
「おまえ、食べるものがたくさんあるときに、なんでそんなものを食べるんだ。」 心配そうに母が言う。
「毒かどうかは食べてみなくちゃわからんからなー。」と私。
もう6,7種くらいは食べただろう。しかし、まだ1度も毒にあてられてはいない。食したあと2,3時間、なにか症状が出るかと緊張するが、スリルがあっておもしろい。
川岸にでて見下ろすと、カラフトマスが河床を埋め尽くして、産卵に余念がない。普段の川では見られない、大きな図体の彼らがバシャバシャ水をたたきながら生命の営みに励む姿を目撃すること、これもまた秋の楽しみの一つだ。
秋口の雨が多い年はきまって彼らが大挙してやってくる。ことしの降り具合から、ワクワクしながら待っていたが予想通りに姿を見せてくれた。
雄どもはメスを巡ってガブガブ咬みつきあいをするが、よく見ていると、メスどうしもいい場所を取り合ってかじりあいをしている。
「そんなに近くで見ているなら、たまには一匹ぐらい食ってみたらどうなの。」 などと良からぬことを言う友もいるが、厳しい生存競争を生き抜き、荒波をこえてようようここまでたどり着いた彼らをいたぶる気持ちはサラサラ起こらない。
私はただ喜んで写真を撮るばかり。
かくのごとく楽しみ暮らしているうち、ミレニアムの年もあと二月(ふたつき)ほどで終わるところまでやってきた。