エッセイ92-Essay92-2002.09
< 小さい秋>
森
  「誰かさんが 誰かさんが 誰かさんが みつけた 小さい秋 小さい秋  小さい秋 みつけた 、、、、」

 今月1日、私が所属する男声コーラスグループ「夢想人」(ゆめおいびと)は大正琴演奏をバックに紋別市文化会館のステージでハーモニーを響かせた。

 それに先立ち、私は森の遊歩道を練習場にして晴れの舞台に備えたのだった。鳥たちはすでに雛を連れて旅立ち、そこには静寂のみが残されていた。私は誰はばかることなく朗々と喉を振るわせた。 

 ある日のレッスン中、頭上に声がした。

 「キョッキョキョッ キョッキョキョッ」 

 アカゲラだった。ゆっくり歩を進めると枝伝いに付いてきて合いの手を入れてくれた。足もとの草蔭にはラクヨウなどキノコも顔をのぞかせ、アキノキリンソウが花開こうと気張っていた。

 日が差すと、弱々しいながら夏ゼミの声も響いていた。白樺は風のわずかなそよぎにも葉を落とし、ナラの枝ではドングリどもがピカピカ輝いていた。

 私は唱うのをやめて立ち止まった。

 「あー ここにもあそこにも秋が、、、。小さい秋 みーつけた。」 

先月は中旬まで大学のスクーリング受講のため、連日36度といった猛暑の東京にいた。頭には灼熱への恐怖心が焼き付いた。けれども森で小さい秋に包まれているうちに、いつしかそれも癒えていたのであった。



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