エッセイ96-Essay96-2003.03
さー、歩いて行こう
開国
  今日は桃の節句、女の子がいる家庭にはおひな様が飾られていることだろう。我が家でも孫娘のために雛人形を飾り、彼女と人形の写真をホームページに載せた。さして珍しくない光景だが、私がこんなことをするようになったのは孫の代になってからである。我が子が小さかった頃、おひな様どころか運動会、学芸会などにも申し訳程度に顔を出すだけで過ごしていた。今、子供達から「おやじ、孫には随分サービスがいいなー」等と揶揄(やゆ)される。

 当時「自分の人生の始末が着いていないのに、子供にまで手が回らないよ」と自分の世界に閉じこもって日々模索(もさく)していたのだ。

 それがここへきて周囲の者が呆れるほどに活動を始めたのは「孫という名の宝物」が可愛いのは当然としても、それだけではない。齢(よわい)六十にしてようよう自分の人生に決着をつけることができたからである。

 現在、孫の世話に限らず塾の先生やら現役大学生、他十一面観音をもしのぐ多くの顔を持って、日々十数個の仕事をこなす。「睡眠時間をもっと減らそうかな」等と考えている。来年は父が亡くなった年齢と同じになるが、私の真の人生は今から始まり。胸に描いたことを成し遂げるにはあと三十年くらいは必要だ。

キザな表現だが、孫の手を引き元気よくあの星に向かって歩いて行くとしよう。



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