ついに、なが年の夢だったログハウスが完成した。
建材は六月中旬に届けられていたが、息子の手があかなくて遅れていた。八月三日、この夏一番の猛暑の日、息子の同僚や草鹿牧場からの応援があって、総勢七名で仕事がはじまった。組立キットなので、箇所ごとに梱包されているのだが、誰もがはじめての作業、結構てまどった。説明書や図面、手順をしめした写真などをのぞき込みながら、それはこっち、これはあっちと、右往左往しながらの組立作業だった。壁丸太を半分近く積んでから、一番下のログの場所違いに気ずき、持ち上げて修正したり、その場になってドリルを買いに走るといった、あわただしくも楽しい仕事であった。
私はカメラをもって、だんだん形を成していく建物を、様々なアングルから写し撮っているだけでなんら役にはたたない。
若者達の熱心な作業により、夕方には四方の壁が立ち上がった。その後がまた結構微妙な仕事になった。積み上げられたログの凹凸や、ゆがみの修整に相当の時間を要したのだ。しかし彼らは、ネジを締めたりゆるめたりしながら根気よく丸太の配列をなおし、薄暗くなるころにはどこから見ても、びしっとした枠組みが出来上がっていた。
はじめ、二日もあれば完成するのではないかと、私は軽く考えていた。しかしその日の作業とまだ使われていない材を見て、こののちも相当の工程があることを思い知った。
その後、息子は会社の大きな現場をかかえていて、なかなかこちらに体を向けることができなかった。無理もいえず、私は内心長期戦を覚悟しながら、建材の傷みを心配するばかりであった。
八月十四日、草鹿牧場のあるじから、逗留中の客人ともども手を貸かそうとのありがたい申し出があり、組立は再開された。おかげでその日のうちに、たるきと板で屋根の形ができあがった。翌日も朝から仕事が始まり、よるまでにトタンをのせ、床板をはるところまですすんだ。残るは、天井とドアと二つの窓を仕上げるだけ。私は、ここまでくればもう一息と、ようやく胸をなであろすことができたのだった。
この二日間の作業で中心となったのは、兵庫県からの客人、K氏であった。彼はフリーターとして様々な仕事を経験しているせいか、難題があっても的確に解決し、丁寧な仕事をしてくれた。そして幸運にも、彼が帰路につく日が一日のび、結局十六日もおそくまで精をだしてもらって、ついに完成をみた。
息子が、ひまひまに残りの仕上げを一人でやる、と話していたが、私はこの三日間の作業工程を見ていて、それでは年内に出来上がらなかっただろうとつくずく思ったものである。何しろ天井だけでも、加工しながら十センチほどのほそい板を、百枚ちかく打ち付けなくてはならない。小さい釘をほぞの中に四百本も打ち込まなくてはならないといった、実に根気のいる作業だったのだから。
かくして、大勢の方々に心を寄せていただき、三坪足らずながら森の道場はできあがった。木の香もここちよいこの場から、感謝の気持ちをこめて、いっそういい作品を世に送り出したい。
私は労賃として、ログハウス使用権を皆さんにさしあげた。
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