今、森に若々しい緑が輝き、私は「お前達、がんばったなー。」と声をかけて歩いている。
今年、4月はどういうわけか、これまでにない高温のうちに過ぎ、それに促され植物の目覚めとその後の成長は2週間くらい前倒しですすんだ。ところが6月にはいるや、3日連続で遅霜、低温にみまわれた。北国の草木はそれなりに強いのだが、樹木ではナラ、エンジュ、ヤチダモなどが見るも無惨にやられた。しかし私は、彼らがすぐに再生にかかることを予想し、その様子を観察する事にした。
ナラは3,4日後から大慌てで、全身にのばした細く短い枝に4,5枚の葉をつけるという応急処置の後、やられた枝先からまた芽を吹き、再生を図ったのだ。小枝を出さないのもあったが。エンジュも用心深い性格なのに、今年は暖気に浮かれたのだろう。5月中にぐんぐん葉を育て、そしてやられた。ところが、こんなことを予想したのか、その時期葉を出さずにいて難を逃れたものもあった。きっと木にも個性があるのだろう。
あれからひと月半、ようやく修復なったのだが、私は彼らの態度に感心した。この生命の一大危機を彼らは文句を言わずに黙々と切り抜けた。
現在、我が国では、不景気雲に覆われ政府、お役所に対する文句が渦巻いている。さらに家庭からは夫婦がお互いに、学校からは教師が生徒に、生徒が教師に、職場からは上司が部下に、部下が上司にと、至る所に文句文句の大合唱が響いている。それぞれが自分の責任を忘れて切って。
私は樹木に教わった。これからの人生、言われた相手にとって助けとなる、本当に言わねばならないこと以外の文句は言わないようにしよう。