エッセイ47-Essay47- 1997.07
もしかしたら

平成九年五月二十三日(新聞掲載)

 今年の雪解けはおどろくほど早かった。四月始め、ためしに白樺に穴をあけると樹液がしたたりおちた。

 「わっ、もう水のすい上げがはじまっているんだ。」

 それからは毎日二リットルほどとれて、飲み残したものは氷にして保存した。

 五月にはいり気温がぐんぐん上がるとそれはほとんどとれなくなった。

 また高温の日は採取中にさえ腐敗がすすみ、たとえとれても飲むことは出来ず、樹液シーズンは終了した。 

 二月、新聞に興味深い記事がのった。それによると、本州での花粉症は杉が主原因だという。そして杉の木の濃縮エキスを注射するという治療方があるとのこと。また北海道では白樺、ハンが春の花粉症の発症源となっているそうである。

 この記事を見た時、思いあたることがあった。私も十年以上前から花粉症になやまされてきたが、昨年、遊びで白樺樹液を飲んでいたところその症状は出なかった。しばらくしてからふと気がついた。もしかしたら樹液のおかげでは。今年は意識的に樹液を飲んだ。

 予想どうり花粉症は目にも、鼻にも姿を見せなかった。

 私は、怪しげな知識をもとに、こんなふうに考えている。

 私の免疫きこうが、飲んだ樹液を通じて何かを覚えていて、花粉が体内に入ってきても過剰な反応をしないのではないかと。

 白樺樹液を飲むことなど、物好きのすることとして、専門家は研究をしてはいないだろうが、このさいしかるべき機関で、花粉症予防という角度から調べて頂きたいと思うのだ。

 それはともかくとして、森の息吹を感じるためにも春の樹液ジュースをおすすめしたい。


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