エッセイ48-Essay48- 1997.07
ヒェーッ、蛇だ!

 ついこの間雪がなくなったと思うまもなく、木々も一斉に芽をふき、色鮮やかに草花が歌い始めた。コブシはほぼ終わり、桜も、エゾ紫ツツジも終わろうとしている。

 私は森や牧草地を歩きながら、エゾエンゴグサ、スミレ、エンレイソウ、三つ葉ツチグリ、シマラギキンパイなど、白、紫、黄色の草花を食べている。それぞれに違った甘さが香りと共に舌にここちよい。

 花も百分の一の割合で毒のものがあるようだが。

 嬉しいことがあった。昨年、家から近いところで行者ニンニクをみつけた。やや時期遅れで、すでに花が咲きかかっていた。それ故、ほとんどつまずにおいた。そうしておけばやがて種が出来、年と共に増えて行くからだ。ところがそれから数日後、誰かに根こそぎとられてしまった。私はずいぶんと憤慨した。目についたものは後先を考えずにすべてとりつくす無礼さ、どん欲さが情けなかった。今年は早くから観察し、食べ頃どんぴしゃりで収穫した。もちろん株をよく見て、とびとびにつんだ。そして私以外にこの場所を知っている人のことも配慮して、大目に残しておいた。四、五日後、確認に行ってみると、お見事、誰かがとったあとはあったが、来年の種の分は残してあった。「これでよし。こうでなくちゃ。」私はごきげんであった。

 今日十七日、その同じ場所に、シメジキノコのごきげん伺いにでかけた。ここ数日の雨模様がきいたのか、もう二、三日もすれば手のひら一つ分くらいの収穫が見込めそうな状態であった。ついでに何か珍しい草花でもないかと、草むらをのぞきこんだ。なにか茶色いものが草の上に乗っていた。うっ、と思うまもなく、それはグニャグニャッと動いて草の根本に姿を消した。

「ひえーっ、へ、ヘビだ〜。」確かアオダイショウだと思うのだが、グリーンではなかった。穴から出て脱皮したばかりだったのではないだろうか。

これから草の中で暮らすのだから、数日もしたら保護色に変わるだろうが、急がなければタカやトンビに食われてしまうぞ。

 以前ほど嫌な相手ではなくなったが、突如のおでましは卑怯だ。のぼりでも立てておいてもらいたい。今後、もう少し油断なく草むらを歩くことにしよう。ダニもそろそろ動き出すだから、腹這いになって撮影するときは何か方法をこうじなくてはならないなー。

 森遊びもそれなりに気苦労があるものだ。


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