今、六月中旬、森は一年中で最も美しく輝く時をむかえている。
つい先日芽吹いたばかりと思っていた新葉が、日毎に育ち、緑を深めてくっきりとした日陰をつくっている。
昨日、せいせいと晴れ渡った大空から降る、きつい日射しの中を歩き回ったあと、私は木陰にハンモックをつり、しばし午眠をたのしんだ。
鳥の歌、風のさざめき、蝉の声、それらが和して子守歌そのものであった。私は毎日こんな調子でなにもしていない。それなのに。
先日、私の教え子であり、現在市内の印刷会社に勤務する山市君から、
「僕もおおいに協力しますから、いままでに書いたエッセーを、本にしませんか。」とのありがたい申し出をいただいた。私は喜んでその言葉に乗せてもらうことにした。
昨春、大阪のS氏から紹介され、来日中の、ブラジル在住の岡氏にお会いした際、「書くことは、あなたにとって天命です。」と告げられた。「そんなこともあるのだろうか。」我ながら半信半疑であったが、それから半月もしないうちに、北海道新聞のオホーツク版にエッセーを連載させていただくことになった。
またこの四月から、紋別市が運営するパソコン通信、ガリンコネットに、森で遊んだことを文章にして十五編のせていただいた。その際、技術指導をしてくれたのも山市君であった。
その彼の多大な助をいただいて、「森の詩」が北の空から新緑の息吹を伝えに全国に飛び立つことになった。
決して上手な文章とはいえないが、私自身が森にとけ込み、森の詩を聞き取りそれに唱和したものである。
毎日の生活の中で心に疲労がたまることもあるだろう。そんな折り、この森の詩がしばしの憩いと潤いを、そっと手渡してくれることを切にねがっている。