Forest of OKHOTSK
エッセイ8-Essay8-   18.07.1996

<白樺を飲む>


 今日二十二日は、久々に春らしい穏やかなひよりに恵まれた。きのうまでの何日にもわたる雪模様は、いかに北国の住人といえども、いささか気がめいるものであった。
 それ故、今日の、空のあおさ、ぽっかりぽっかり流れていく千切れ雲の白さがひときわ嬉しく、心なごむ眺めだった。
 四、五日前から、松の下枝落としをはじめて、森の見通しもすっきりしたものになってきた。かなりハードな作業だったが、冷たい風がかえって能率を上げるのに役立った。
 そんななかで、昨日、ためしにドリルで白樺に穴をあけてみると、すでに水の吸い上げがはじまっていた。
 その穴にストローを差し込み、ペットボトルに樹液を受けるように細工した。二時間ほど作業してから見にいくと、三百ミリリットルほど貯まっていたので、さっそく味見した。飲んだ後、ほんのり口に甘さが残って、じつにおいしい。
 これは森の滴(しずく)、森の精。
 そして今日、一層太い木に仕掛した。三時間の重労働の後、喉の乾きに、たまらず駆け寄ると、すでに一リットルも貯まっていた。
 一気に半分も飲んだだろう。あまりのおいしさに、またたくまに体の疲れも消え失せて、さらに一時間の作業をしてしまったのだ。
 これから半月ほどの間、樹液を飲むことができる。おーい白樺君達、また明日も頼むよ。私はウキウキご機嫌で、今、我が愛機FMVに向かっている。


ご意見・ご感想をお寄せください。mail :ny-kaba@js2.so-net.ne.jp メール