Forest of OKHOTSK
エッセイ10-Essay10-   18.07.1996

<白樺樹液祭り −自然との共生−>


 この文章は読者の方から、白樺から樹液を採ることは、自然破壊ではないだろうか、とのご質問を頂き、それに答えたものです。

4月29日、美深町仁宇布(ニウプ)で行われた樹液祭りに行って来ました。昨年こくさい樹液サミットがあり、行きたかったのですが果たせませんでした。
それでラジオで今回の祭りの情報を得た際、是非行こうときめたのです。
 この町の青年起業家が北大の林学科の先生と協力体制をとり、長年の試行錯誤をへて、ついに樹液の製品化に成功したのです。
現在「森の滴」との商品名で180ミリリットルびんを200円で売っています。
 白樺や楓の樹液を飲むという文化は、世界の北方民族の間に広くみられます。
 中国、韓国、ノールウエー、フィンランド、ロシア、カナダ他少数民族です。我々日本人は、本州では身近に白樺がないので飲むということと無縁でいたのです。
 北海道ではアイヌの人々がこの文化を持っていました。韓国では1,200年前から薬水祭という行事があって、樹液を神に捧げ、豊作や人間の健康を願うということが行われていたそうです。
 今では全国から30万人ほども人が集まる大イベントになっているとのことです。20年ものの白樺1本から1 月の採取期間にドラム缶1本の樹液が採れるといいます。
 美深町ニウプは恐ろしいほどの過疎の村です。離農跡地を放置しておくと10年もすると白樺の純林ができてしまいます。いずれ村全体が白樺林に変わるでしょう。
 他には川ぶちに柳とハンの木、山には松しか生えないといった、植物相も貧弱な、気候風土の厳しいところです。
 だからその白樺を有効に使う方法として樹液の商品化といったアイディアがうまれたのです。
 木が生きている間は、樹液を頂き、木の命が尽きた後、伐ってチップにする、その中には虫歯を治す成分が含まれているのでそれを取り出す。
 最後にパルプにする。そのほか割り箸や、爪楊枝にする、という使い道があります。 
これは自然破壊ではなく、自然と共生する一つの具体的行動だと思います。 
この間100年にわたって白樺と共にあることになるのですから。その間にまた新たな森が形成されるのですから、森が消滅することはありません。 
林内では、虫、鳥、けもの達がいついつまでも安心して暮らせるのです。

 祭りにはアイヌの女性長老がきて、伝統の祈りを捧げてくれました。韓国の方々、ミス薬水嬢2名他、20人ほどの方も参加されておりました。
 またいつかこの祭りに参加して、いろいろ勉強したり、諸外国の方々とも友達になりたいと思っています。白樺がとりもつ友達の輪(和)です。

  ◎ 蝶が飛ぶから 花が咲くのか 花が咲くから 蝶が飛ぶのか

    ともあれ もちつもたれつ 季節はめぐる

  ◎ ぐんぐん伸びる草 私が鎌を振る

    無言で草は伏す チクリと心がいたむ


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