Forest of OKHOTSK
エッセイ13-Essay13-

<ヒメイチゲ>


ここ4、5日、気温が五月後半なみにあがったので、高い山々の雪が一気に解け始めたようだ。川を見ると濁流が渦を巻いて恐ろしげに流れている。
 やがてこの急流が緩やかになると、水も澄んで赤ハラやヤツメウナギがやってくるはずだ。川に生き物の姿を見かけることは、本当に、川が生きていることが実感され嬉しくなる。
 今日28日、またまた素晴らしいことがあった。ウグイスという鳥は近くで歌っていてもなかなか姿を見せないが、ついに目撃したのだ。
 私から二十メートルほどの距離の低い木で高らかに愛の歌を歌っていた。声を発する度に、喉のあたりが激しくふるえる。
 同時に尾羽根も歌の最後の一節のところで、ぴくぴくんと跳ね上がる。あたりを眺めまわすように鳴くので、声が八方に広がる。
しばしうっとりと美声に聞き入っていた。鴨のつがいも頭上をとんだ。今年もこの近くに巣をかけるのだろう。
昨年、6月ころ、5羽の雛をつれて泳ぎの練習をさせていたのだが、九月末旅立ちの迫った頃には2羽しか親の後ろに従っていなかった。
鷹か狐に食べられたのだろうと推理し、改めて野生の厳しさを思い知らされたのだった。今年は一層用心して、生まれた雛すべてを連れて南へ向かってもらいたいものだ。
 ヒメイチゲが咲いた。森の中でトップの花だ。草丈5センチほどだが、花はほぼ2センチと以外に大きい。
 花びら6枚、裏側はうすピンク、おもては純白で中に雄しべがたくさんたっている。虫が飛び始めたのを察知したのだ。後を追うようにスミレも顔を見せるだろう。いよいよ花の季節も始まった。


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