Forest of OKHOTSK
エッセイ16-Essay16-   18.07.1996

<小鳥との戯れ>


 5月も中旬を迎えたのに、尚雪が舞う寒い日が続いている。 森での仕事もほとんどなくなったので、最近は鳥の観察で楽しんでいる。餌台にパンくずや、リンゴをのせ、そこに集まるヒヨドリを双眼鏡でながめる。この鳥は体が灰色、地味であるが、間近で見ると仕草がかわいい。シジューカラ、コガラ、エナガといった小型の鳥達も忙しげに、白樺の新芽をついばんでいる。彼らは器用に、細い細い枝先に、背中を地面に向けるようにしてぶらさがり、餌をとる。
  今日、森のツツジ公園に行き、花の咲き具合を調べたが、この連日の寒さで開花はかなり遅れるように思われた。その場所でふと、「確か昨年、このあたりで、オオアカゲラを見かけたのだが、今年はきていないかなー。」とキョロキョロ、梢を見回していた。と突如、キョッキョッ、あの特徴ある声が響いた。 「あっ、きたきた」心でささやいたとき、すぐそばのナラの木にそれは止まった。
 私は、頭と腹のあたりを見て、オヤッと思った。 アカゲラならそこに赤い色を見ることができるのに、そいつは頭が灰色っぽく、腹にも全く赤はない。背中の白黒まだらもない。それは、図鑑だけで知っている、ヤマゲラのメスであった。 お初の挨拶に来たのか、木をつつくこともなく、間もなく飛び去った。
  つい2、3日前のこと、この時期には珍しくカケスが森にやってきた。私から5メートルと離れていない草の上に降りて、こっちを見ている。 昨年、頭上で、ピーヒョロロとやってくれ、私は一瞬、トンビに襲われた、と青くなった。それを思い出し、裏声で、ピーヒョロローと声をかけた。するとやつも、細いきれいな声で、ピーヒョロローと返事をくれた。 私はころころと喜んだ。カケスは、ギャーギャーといった、あまり感心しない声の持ち主だが、鳴き真似をする際はなかなかの美声であった。
 これもつい先日、草の中を、いままで見たことのない鳥が歩いていた。 体のがらからして、シギの仲間と思われるのだが、毎年見るヤマシギより、はるかに小型で、雀の2倍ほどのスマートな体つき。図鑑で調べると、それはヒバリシギであった。
   注意深く森を見ていると、毎年お初の鳥に会うことができる。このような訳でこれからも、森がよいはやめられない。


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