<森静かなり>
雪が融けきらないうちから、松の枝降ろしを始め、木の芽吹きを楽しみ、次にはほころんでくる草花を愛で、鳥とたわむれ虫と遊んでいるうち、季節は滑るように移り変わり、もうお盆の時期になった。ここ3年セミの声もあまり聞かれず、全体として見れば、虫は少ない。昨年、1昨年とブランコ毛虫の大発生はあったが。
森の道を歩いていても、蚊の攻撃に悩まされることも今年はほとんどなかった。面白いことに、他の場所にいくと、ベコアブと呼ばれる緑っぽい大型のやつがうるさくまとわりつくが、我が森にはそれはいない。
8月に入って気温はもちなおし、いかにも夏らしい、ただ歩いていても汗が流れるような日々が続いた。そんな中で緑深い遊歩道を歩きながらふと気が付いた。
つい先日の月初めまであちこちから聞こえていた小鳥達のさえずりが、パタリと止んでいるのだった。
「あー、子育てがすんで南へさったんだなー」ポロリ独り言をもらした。
れいねんこうなるのだが、夏の真っ盛りなのに、すでに秋の気配を感じてしまう。みんな無事に旅を続けて、遥かな南の海を越えて目的地へ到着してくれよと、北の森のからねがっている。また来年春には是非ここで再会しよう。
こんな静かな森のなかで、私は春以来の日課である草花の写真を撮り続けているが、彼ら鳥にかわって、今度は自分が歌おうかと考えている。
今年の秋、10月中旬、友人のR子がお弟子さんの発表会を滝上町で行う。そのさい、我ら男声コーラス「夢追人」(ゆめおいびと)に、出演してもらいたい、との要請をくれた。
協力したいと思う。喉の調子を整えるため、森の音楽堂で発声練習をしよう。そのことが静まりかえった森を少しはにぎやかなものにするだろう。
グミも今のところ、立て札が効いたのか、誰かに持ち去られることなく、ヒヨドリが喜んで食べにきている。カケスも来るかもしれない。彼らとの混声合唱を楽しむことにしたら、寂しさも紛れることだろう。
草花の写真も相当たまった。250枚を越えた。このまま秋の終わりまで撮ると、おそらく300枚を遥かにこえるだろう。
これは大きな資産だ。そのうち図鑑を作るか、草花展でも開けたらいいな、と思っている。