この冬は、実感として雪が多かった。大山のスキー場が珍しく昨年十二月中にオープンしたのを見てもわかる。しかし大きな吹雪もなく、気温もあまり下がらなかった。テレビで流れる「水道凍結にご注意ください」のテロップも確かにすくなかった。そのせいか、瞬く間に春がやってきて、畑や牧草地の雪はすっかりきえた。
四月六日、日曜日今年初めて森に入った。家の南側は土も乾いているほどで、何の苦もなくたどりつけたのだ。
「おーい、みんな、俺はもう来たぞ。これからまたお世話になるぜ。よろしく。」
森の中には所々どかっと雪が残っているところもあったが、全体としては思ったより少なくなっていて、うまくたどれば遊歩道さえ一回りできるようにも見えた。しかし長靴をはいていなかったので取りやめた。
この春は白樺の樹液を大量に飲んでみようと考えている。昨春、森での作業中、毎日お茶代わりに樹液を飲んでいた。そしてここ十数年悩まされた花粉症にかからなかった。しばらくしてからその事実に気付いたのだが、これといった根拠のないまま私は、その間に何か因果関係があるのではないかと思うようになった。今年二月、北海道新聞におもしろい記事が載った。
本州の花粉症は杉が原因であるが、これまで有効な治療方がなかった。ところが最近、杉の樹のエキスを注射するという方法でかなりの効果があがっているという。あらかじめ慣らすことによって体内の免疫機構が、進入してくる花粉に過剰反応するのを防ぐ、という仕組みである。北海道の春の花粉症は白樺によって引き起こされる。ということは、杉のエキスが有効なら、同じ理屈で白樺樹液が効果的であると言えるのではないか。私はこの推察を確かめるべく、今年は意識的に樹液を飲もうと考えているのだ。花粉症で悩んでいる人があれば奨めてみたい。もしこれが実証されればえらいことになる。道内各地の白樺が穴だらけになるのではないかと心配だ。我が家以外なら、汚したり痛めたりする事に何のためらいのない同胞をしばしば見かけているから。
森からの帰路、私の作品からやり方を教わったという隣のMさんが、早くも白樺林で樹液採取の仕掛けをしていた。すでに四リットルペットボトルいっぱいに採れていた。やー今年ははやいぞ。明日、我が森にも仕掛けをしよう。樹液氷もたくさんつくろう。胸躍る早春の日々。