エッセイ46-Essay46- 1997.05

念願成就

 あの森を買ってから、ずーっと願っていたことがある。そして今、二十二年間の思いこみがついに実現に向かって具体的に動き出した。

 連休に入った三日、息子や会社の友人、姉夫婦が中型のユンボを森に運んできた。

 そしてここぞと決めた場所の測量、地均しを行なった。その夢、それは木立のなかに洒落たログハウスを置きたいということであった。

 十五年くらいまえだったろう。小樽市で博覧会があって、家族共々会場に出かけた。そこに、六畳間ほどのログハウスが展示されており、惹きつけられた。

 しかし値段をみて、夢は遠ざかった。百三十万円。当時の物価からみて、自分には負担できる価格ではなかった。

 時は過ぎ、各地でログハウスが発売されるようになった。値段も下がり始めたが、なお百万円以下の物件は見あたらず、いつまでも夢は夢のままであり続けた。……

 昨秋、新聞に綴じ込まれた一枚のチラシが吉報をもたらした。二.七坪のそれが六十万円ほどで手に入るというではないか。カラ松の間伐材で組み立てられるもので、やや華奢(きゃしゃ)な感じではあるが、これならなんとかなりそうだ。

 我が家の大蔵大臣もすっかり乗り気、長年のへそくりを提供してもいいとのことで、話はとんとん拍子ですすんだ。義兄がその会社の社長と幼なじみであり、そのよしみで値段もある程度配慮してもらえることになって、四月末、ついに発注した。

 六月中旬に引き渡し、ときまった。それでこの連休中に下ごしらえをしてしまおうと、昨日、大がかりな作業が行われたのだ。重機が来たついでとばかり、森のはいりくちや、地形の悪いところの整地もおこなった。

 丸一日の仕事で家の周りや、森のあちこちがすっきりしたものに変えられた。これも長いこと思い続けたものであり、その森改造計画もついに達成された。

 友人の一人が今冬、五十数坪、ン千万円の家を建てたが、それに比すれば、三坪足らずの物置みたいなそれはまっこと些細なものでしかないが、私にとってはこの上なくうれしいことなのだ。

 いささかオーバーな言いぐさではあるが、夢は、願い続けるならばいつかは叶うものである、としみじみ実感している。

 木の香も新しいそれは私の瞑想道場。この夏から、そこで、森と私の新たな関わりが始まるのだ。もう夜も眠れないほど、私はわくわくしている。


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